記号の将棋の続きですが、今回は一足先に人間のチャンピオン(GM-グランドマスター)が人工知能・コンピュータに負けたチェスと比較して見ましょう。まず、一般に誤解されている点を明らかにしなければなりません。日本の将棋ファン(と言うより普通の人)が将棋はチェスと違って、敵の駒を再利用でき複雑であり高級なゲームで、コンピュータ側は手を出せない、まず弱いレベルの低いチェスが標的にされたと思い込んでいる事です。一寸考えて見れば自明ですが、コンピュータのハード及びソフトを作る側の動機を考えて見ると、極東の日本と言う国だけに存在する将棋に勝ったところで、全世界に与える衝撃はそれ程大きくない、即ち、コンピュータのハード並びにソフトを全世界に売るメーカーとしては莫大な開発費に比べて将棋コンピュータ・ソフトの宣伝効果は低い訳です。マーケティング戦略としてはグローバルなゲームであるチェスを狙うしか無い訳で、基本的には将棋は相手にされていなかった事になります。これは現在でも状況は同じです。
ところで、コンピュータを離れて、人間のチャンピオンを比較してみましょう。即ち、チェスのグランドマスター(GM)と将棋のプロ棋士のどちらが強いかです。答えは両方とも強くて弱いという事になります。チェスではGMはプロ棋士には絶対(ミスが無ければ)に負けません。逆に将棋ではプロ棋士はGMに絶対負けません。GMになるにもプロ棋士になるにも5歳位からチェス漬け、将棋漬けで10年以上修行しないとなれないと言われております。人間として一旦完成してしまったGMなりプロ棋士のチェス脳、将棋脳は多分互換性が無いのではと考えられます。GMでありプロ棋士になるには言語と同じようにバイリンガルになる環境が必要ではないかと考えられます。
コンピュータに話を戻しまして、コンピュータのチェス脳と将棋脳は互換性はあるのかと言われると、恐ろしい事にある訳です。今回ボナンザ(Bonanza)が、その一端を証明した事になります。チェス・チャッピオンが最初に負けた頃のスパコン並びにソフト開発費は天文学的数字になるでしょうが、現在ではハードは100万円以下になり、個人の趣味の範囲で開発が可能になった訳です。そして、個人の趣味の範囲でプロ棋士に勝てるソフトの開発ができる環境が整いつつある訳です。IBMとかIntelとかが大袈裟ですが社運を賭けて開発する時代は終わったようです。


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