二重盲検、プラセボ、背景を同一にするための層別無作為割付等は、非常に精緻な薬効評価システムですが、良い新薬を世に出せたのでしょうか。実は、多くは失敗したようです。中で最も喜劇的且つ悲劇的さらに犯罪的な経緯を辿ったのは”頭の血の巡りを良くする薬”でした。これは所謂”抗痴呆薬”ですが、最初に薬として承認されたのが三十年近く前でであり、二重盲検法が確立する以前でした。従って、不幸なことに二重盲検法に用いられる基準薬(アクチブプラセボ)となってしまい、多くの類似薬がその後二重盲検法で世の中に出てしまいました。即ち、二重盲検法で最初の薬は薬効を確認されていなかった訳ですが、最近(前世紀末)、最初の最初の承認薬を薬効を持たない偽薬を対照薬として二重盲検法を行ったところ、血流を増やす効果は実験的には認められたたのですが、肝心の抗痴呆薬としての効果は全く認められなかった訳です。こうなるとこの薬を基準薬として承認を受けた薬も全て再評価され、抗痴呆薬としても薬価は削除され、製造販売が中止となりました。従って効きもしない薬に健康保険財政から一兆円以上が無駄に浪費された訳です。

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