前書きが長くなりましたが、所謂血統理論は前述の血液型による性格判定と同じメカニズムでは無いかと言う事です。競走馬の能力は、例えば瞬発力があるとか、スタミナ型とか表現されますが、よく考えて見ると、能力の根源は何かとなります。馬に限らず人間にも当てはまりますが、根源は骨格の大きさ、形、質あるいは筋肉の量、質、さらに心肺機能、赤血球の数、酸素運搬能力等‥、数え上げたら切がありませんが、これらが優位にある事が基本となります。ところで競馬は血統のスポーツと考える向きがありますが、遺伝子レベルで考えると、時代に求められる良好な形質を発現できる遺伝子プールを形成して維持する事です。その上で必要な目印として血統が用いられてきたとも言えます。また、血統書上に特別な意味を持つ種牡馬は良好な能力の発現環境と、その元となった良好な遺伝子プールを偶然併せ持った幸運な馬という事になります。ただ、ここで注意しなければならないのは、血統書上著名な馬の能力の発現は良好な遺伝子のプールによると言うことは、能力の根源に示したような多数の要因,因子を支配する多数の遺伝子が関与して良好な表現型を形成した事を意味しており、単一な遺伝子に能力(瞬発力等)が乗って遺伝してきたのでは無い事です。さらに、現役の競走馬の能力をその馬の4、5代以上前の著名な種牡馬を冠した○○系の特徴を反映している等の表現があります。確かに、例えば4代前であれば、血量という表現を使えば1/16(6.25%)の遺伝子を継承していますし、途中でインブリードがあればさらに高い率の遺伝子を継承している事になります。しかしながら前述したように能力は多数の遺伝子が関与し、メンデルの法則(優性劣性)を掻い潜り、さらに環境要因が整って発現する訳ですので、4代前の血統図上の種牡馬が発現した能力の元となる多数の遺伝子が4代を経て同時に受け継がれる可能性は限りなくゼロに近くなります。以上のように一つの能力が一つの遺伝子によって決定してしまう事は有り得えませんし、これを前提とした血統理論は正しくないと言えます。
